労働問題

労働問題

不当解雇、未払賃金等の雇用トラブル(労働事件)に関しては具体的なケースによって
法的措置をとれるかどうか、及びその方法が違ってきますので弁護士にご相談ください。

  • 会社から解雇と言われたが、理由が不当で納得できない。
  • 契約を更新しないと雇い止めを言い渡されたが、納得できない。
  • 残業代、退職金等を払ってもらえない。

ご相談事例

就業規則の普通解雇事由に該当することを理由として、解雇されました。この場合、どのような理由があっても、解雇の効力を争うことはできないのでしょうか?

不当解雇として解雇の効力を争うことができる場合があります。
最高裁判所は、「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効となる」(高知放送事件・最判昭52.1.31)とし、たとえ、形式的に普通解雇事由に該当する場合でも、個別具体的に、解雇の合理性と相当性を欠く場合は、不当解雇となることを明らかにしました。

勤務成績が悪いということを理由として、解雇されました。この場合、解雇の効力を争うことはできないのでしょうか?

不当解雇として解雇の効力を争うことができる場合があります。
成績が悪いことを理由とする解雇が有効とされる場合とは、著しい成績不良の場合に限られます。また、使用者が、教育や本人の能力にあった配置をしたかどうかも解雇の有効性を判断する重要な要素になります。

会社の業績がわるいことを理由として、解雇を言い渡されました(整理解雇)。しかし、全く納得できません。解雇の効力を争うことができるのでしょうか?

不当解雇であるとして解雇の効力を争うことができる場合があります。
人員削減の必要性、解雇回避努力、人選基準の合理性及び説明・協議等手続の相当性の4要件(又は4要素)により判断され、整理解雇が解雇権の濫用になる場合があります。

労働契約上は、2か月の期間を定めた労働契約とされていますが、何度も反復して更新されてきました。しかしながら、突然、契約を更新しない(雇い止め)と言い渡されました。これについては、期間を定めた契約である以上、効力を争うことはできないのでしょうか?

雇い止めの効力を争うことができる場合があります。
期間を定めた労働契約であっても、実質的に期間の定めのない労働契約と異ならない場合は、解雇の場合と同じように雇い止めから保護される場合があります。

労働契約や就業規則では、午前9時から午後5時までが勤務時間(正午から午後1時まで休憩時間)となっていますが、実際は、毎日朝礼のために、午前8時45分からの就業をやむなくされています。この午前8時45分から午前9時からの15分間は労働時間に算入されないのでしょうか?

朝礼や作業前の準備の時間等も労働時間に算入され(実労働時間)、残業代請求の基礎になります。参加が義務付けられている朝礼の時間(15分)は、残業代請求の基礎になります。
判例では「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に決まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めいかんにより決定されるべきものではない。」(三菱重工業長崎造船所事件最判平12.3.9)とされています。
待機時間は仮眠時間等も休憩時間ではなく労働時間に該当する場合があります。
具体的には弁護士にご相談ください。
また、企業によっては、1日30分未満の残業について、残業代を支払わない旨の取り扱いをしているところもあるようですが、これについても、従業員はこれに拘束されず、残業代の請求は可能です。

私は今年度から平社員から係長に昇格しました。管理職になると役職手当が支払われる代わりに、残業代は支払われなくなる規程になっています。このような規程がある場合、残業代の請求はできないのでしょうか?

管理職だからといって、残業代の請求ができなくなくわけではありません。
よく、「管理職に残業代が支払われないのは当然だ。」と言われることがありますが、そのようなことはありません。このご質問のような規程があり、役職手当が支払われているからといって、当然に残業代が請求できないことにはなりません。
労働基準法41条2号において、いわゆる管理監督者に対しては、残業手当の支給対象外とされていますが、ここでいう管理監督者とは、単なる管理職を指しているのではありません。管理監督者には、労務管理上経営者と一体的な立場にあるなどの厳格な要件を充たす人のみが該当します。係長がこの管理監督者に該当することはほとんどないと見られます。近時、「名ばかり管理職」問題としてマスコミにも取り上げられるようになりました。

残業代請求の消滅時効は?退職金請求の消滅時効は?
残業代や退職金の未払分はいつまで請求できるの?

残業代については、支払月から2年間で消滅時効にかかります。
退職金については、5年間です(いずれも労働基準法115条)。

うちの会社では、いくら残業をしても、会社からは、基本給の中に残業代も含まれると言われ、残業代が一切支払われていません。基本給の中に残業代が含まれている場合、残業代は一切請求できないのでしょうか。

最高裁昭和63年7月14日判決では、「割増賃金を基本給に含める旨の合意がされたとしても、その基本給のうち割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意がされ、かつ労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことが合意されている場合にのみ、その予定割増賃金分を当該月の割増賃金の一部又は全部とすることができるものと解すべき」と判示しています。
従って、残業代が基本給に含まれていると会社で定められている場合、どの部分(金額)が残業代かを会社は示す義務があります。それが明確で無い場合には、そもそもそのような規定自体が無効ということになります。
また、仮に残業代が明確に区別できたとしても、その残業代部分が、実際に行った時間外労働の残業代金額よりも低い場合には、差額の分を請求できます。

会社は、残業代について、「毎月固定の金額を時間外手当として支給しているから残業代は手当に含まれる」といわれました。このような場合、いくら残業をしても、残業代は請求できないのでしょうか?

会社が支給する基本給等に予め一定の時間外手当を含ませることについては、裁判例で認められています。
しかし、実際に働いた時間外手当の金額が固定の手当の金額を上回れば、差額について残業代を請求できます。
例えば、毎月固定の手当が5万円だった場合に、実際に働いた残業代の金額が6万円だった場合は、1万円の残業代を請求できます。
また、仮に、会社が、「月○時間までの残業代は支給するが、それ以上は支給しない」と定めていたとしても、実際に行った時間外労働の残業代を請求できます。
さらに、「月10時間未満の時間外労働は時間外手当て(残業代)を支給しない」とする、残業代の下限が設定されていた場合、仮に5時間の残業をした場合、ちゃんと5時間分の残業代を請求できます。

採用される時に、「残業代なし」という条件で採用されたのですが、その場合、やはり残業代は請求できないのでしょうか。

労働基準法で定める残業代の支払に関する規定は「強行規定」と呼ばれ、労使間の合意の有無に関わらず罰則付きで会社に支払を義務付けるものです。
したがって、法律上残業代が除外されたり、一定額の残業代を含めて支給していることが明らかである等、限られた場合を除き、「残業代なし」という条件で採用されたとしても、残業を実際に行った場合には、残業代を請求することができます。

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